平成13年9月例会 講演会要旨

No.004 セラミックスの製造法と応用

篠田 洋(化学部門) 2001.10.14

セラミックスの製造と応用について炭化ケイ素セラミックスを例にして紹介する。
炭化ケイ素は、代表的な非酸化物セラミックスであり、私が企業に勤務中携わってきた材料である。
a. 炭化ケイ素とは?
炭化ケイ素は、カーボンとケイ素とを1:1で結合させた合成鉱物である。大変硬いので古くから研磨材・研削材として使用されてきた。また耐熱性があり、カーボンと異なり燃えにくいので、発熱体、耐火物等に使用されてきた。
b. 歴史
・ 1891年:アチソン(アメリカ)炭化ケイ素を発見、カーボランダムと命名
・ 1970年頃までに商品化:炭化ケイ素発熱体、れんが、棚板、研削材
・ 1973年:GE社 Prochazka 常圧焼結法を発明
・ 現在:高純度の緻密焼結体、半導体製造装置部品、冶具などに展開
c. 炭化ケイ素の特長
・ 耐熱性:非酸化雰囲気では1600℃付近まで使用可能
・ 熱伝導率が高く金属に匹敵する
・ 硬度が高く、ダイアモンド、アルミナに次ぐ
・ 高温強度が高い
・ 化学的に安定、ただし高温で耐酸化性に問題
・ 高温半導体として有望
d. 成形法
一般に知られたセラミックスの成形方法が適用できる。
・ 金型成形:金属、樹脂のプレス成形と同じ
・ ラバープレス
・ 押出し成形
・ 鋳込み成形:スリップキャステイング
・ 射出成形:樹脂の成形と同じ
e. 焼結方法
・ 常圧焼結: 通常の燒結方法、熱源は電気またはガス
・ ホットプレス
・ HIP: 高温の状態で加圧
・ 反応焼結
・ CVD: 化学蒸着法
・ ガス加圧焼結
f. 応用
・ 研磨材・研削材、耐火物、発熱体
・ 焼成用冶具
・ 半導体用途  石英ガラスに匹敵する高純度 CVDコート
・ 基板加熱用ヒーター
・ 炭化ケイ素基板
・ 触媒担体、高温フィルター:デイーゼルエンジン排ガスフィルター
・ ローラーハースキルンローラー
・ 排ガスサンプラー、測温計保護管
g. 今後の展開
最近カーボンナノチューブの新しい合成法として、炭化ケイ素セラミックスを真空加熱しカーボンナノチューブを表面に生成させたとの報告がある。また高周波プラズマにより、平均粒径30nmの超微粒SiCが合成できること、これを用いて高強度の大型成形品が製作されたとの報告がある。また炭化ケイ素基板、ショットキーダイオード等の新製品が発表されている。更なる技術の発展を望んでいる。

(注) 本稿は2001年 9月度岐阜技術士会例会講演の要旨を講演者の篠田先生にまとめていただいたものです。