ボンベを利用したLNG設備について
No.012 ボンベを利用したLNG設備について
(株)中部プラントサービス 加藤 守孝 (機械部門)
LNGは天然ガスを約-162℃まで冷却し液化したものであり、液化すると体積が約1/600となる。燃焼時にはSOxが殆ど排出されず、NOxやCO2の発生量も石油や石炭に比べ少なくクリーンエネルギーとされている。しかし、主成分のメタンはCO2の4倍にあたる地球温暖化効果ガスであり大気放出しないことが必要である。
LNGの成分の約90%を占めるメタンの臨界温度が-81.2℃であることから、LNGは低温状態を保持しなければならない。このため、ボンベの構造は魔法瓶のようにボンベは2重構造で真空断熱し低温状態を保持しているが、完全に入熱を遮断できないため、入熱により低温の気化ガス(BOG)が発生しボンベ内圧力が上昇する。これの対処方法と、省スペース及び低コスト化がボンベを利用したLNG設備の構築が必要である。
ボンベを利用したLNG設備は、設備の安全弁を1MPa未満にして高圧ガス設備の適用を回避することがコストダウンの第一歩である。
容量175㍑のボンベ1本当り0.14m3N/日のBOG発生量があり、ガスが消費されない場合は、ボンベ内の圧力上昇により、安全弁からBOGが放出される。
ボンベを供給側と予備側の2系統にした場合、予備側ボンベ内圧力が上昇するため、両系統の圧力を監視し、予備側が設定値以上の圧力まで上昇したら、予備側のBOGを消費させて圧力を下げ、設定値まで降下したら供給側に戻す制御を行う必要がある。また、運転時のボンベ内圧力を低めに設定し、安全弁の動作圧力と運転時の圧力差を大きくすることで、2日間程度ガスが消費されない場合のBOGの放出を抑制することが可能である。
BOGを放出させないためには、ボンベの設置数は約1週間で消費される量が適当であり、季節により消費量が大きく変化する場合は、消費量に合わせてボンベの設置数を変えることが肝要と考える。
小容量の気化器は、安価で構造が簡単なエアフィン式気化器が使用されることが多い。この構造の気化器のより、沸点、発熱量等が大きく違う種類の成分を含んでいるLNGを気化すると、気化ガス成分が安定せず発熱量が変化する。この状態でガスエンジンを運転すると、ガス流量の変化と共にエンジン音がハンチングの如き変化する。
この対策としてクッションタンクを設けることが有効であるが、省スペースと低コスト化からクッションタンク無しで、安定した気化ガスが得られることが要求される。
この対策として、チューブを水平方向に設置し、上部から下部にガスが流れるように配置した気化器構造とすることで、ガスの流れにより、チューブ内で異なる成分のガスが混合でき、クッションタンクが無くとも安定した発熱量が得られることが判明した。
これらを組合せたLNG設備とすることで、BOGの放出が抑制でき、安価で省スペースの設備が構築できる。
(注) 本稿は2004年11月度 岐阜県技術士会 例会講演の要旨を、講演者の加藤先生にまとめていただいたものです。
2005. 1.11